1998スリーサム・イン京都

(1998年の古い記事です。当時珍しくデジカメとパソコンを持参して学会会場から記事を投稿したのでその思い出に。)1998.6.5から1998.6.7に取材し毎日アップロード。
kyoto kokusai kaikan
(京都国際会館。初日は一日中曇っていました)

「スリーサム・イン京都」とは?
「スリーサム・イン京都」は「第35回眼感染症学会」「第41回コンタクトレンズ学会」「第32回眼炎症学会」の三つの合同学会です。京都国際会館で開かれました。

6/5金曜日(1日め)
 初日のプログラムは眼感染症学会がほとんどと、眼炎症学会が少しでした。

眼感染症学会は朝のシンポジウムから満席に近く、もりあがっていました。角膜真菌症の治療戦略では4人が口演し、治療方針は4人少しずつ違う点はあったものの、「角膜を強く擦過せよ」という点では意見が一致していたようです。他に一般口演では細菌感染、ウイルス感染をテーマにいろいろ発表がありました。

 今日、印象に残ったのは眼炎症学会のナーシングプログラムでした。「院内感染の予防と対策」というテーマで4人の演者が口演しました。
「感染予防上の注意;消毒剤の選び方」尾家重治(山口大学)
まず各種消毒剤の有効なスペクトルなど一般論をのべ、それから消毒剤の使い方を具体的にいろいろ紹介しました。温水消毒の効果が見直されているとのこと。細菌、ウイルスに殺菌効果があり残留毒性がなく消毒をする職員に対しても空気汚染などで悪影響を与えないなど長所は多い。オスバン、ヒビテンを綿球にしませて使うやり方は、しばしば綿球自体が細菌が増殖するということ。イソプロピルアルコールは安価だがアデノウイルスに無効であるからEKC予防にならず、また脱脂作用が強くて手が荒れやすい。かわりに消毒用エタノールを使うのがよい、などなど。



6/6土曜日(二日め)
 2日めはよく晴れていました。今日は三つの学会のスケジュールがそれぞれ午前も午後も開かれています。まず「感染症学会」を見てその後コンタクト学会を少々のぞいてみました。「CLの諸問題」では基礎研究に重点をおいた発表が多くてやや難解です。ドライアイに対するCL処方の方針はまだ諸説あるということでした。CLのポスター展示では「コンセプトF」と「オプティフリー」を比較検討した内容が興味がひかれました。僕の印象ではオプティフリーがかなり長所が多いようです。

 一方、感染症の会場でのランチョンセミナー「眼感染症実践教室」は受験問題風の司会進行と、豊富な症例スライドでなかなか楽しめました。こういう演出は大橋先生じつに見事です。

 午後3時に再びCL学会会場、ここでのシンポジウム
UV-Filtering soft contact lenses,
The needs of the presbyopic patient with contact lenses,
Contact lens success with shorter wearing schedules to reduce the incidence of ocular complications,
は若干難解でした。同時通訳をヘッドホンできけるのですが日本語できくとかなり速いスピードになってかなり集中力が要求されます。コンタクトの紫外線カットに関しては大筋では賛成だが一部問題もあり、という要旨だったかと思います。
 メーカーの展示会場ではメニコン、シード、ニデックといったおなじみの会社もありますが今回はチバビジョンが元気にアピールしている印象でした。チバビジョンの新製品は、主によっつです。

dailies ciba vision 1998

***Dailies(1日使い捨て。ライバルは1 day AcuVue)、
***NewVues(1週間の使い捨て、昼夜ともつけたまま。ライバルはAcuVue),
***Focus(2週間の使い捨て、ライバルはSureVue。消毒はエーオーセプト)
***Focusトーリック(2週間の使い捨て近視と乱視度数あり、ライバルはなし?)
ただし一部製品はまだ6月の時点では地域限定発売とのことです。今日はDailiesを実際に触りましたが適度な「コシ」があって扱いやすい印象でした。ケースの形状もなかなかいいです。日本のディスポーザブル市場にもジョンソン社以外にライバル会社が出現したので利用者にはうれしいニュースだと思います。チバビジョン社は電話は0120-389103です。まだ日本でサイトを出してないのでしょうか?CIBA VISIONの名前でUSAのサイトがあります。「USAのチバビジョン社」(98.6.12変更)。

 夕方は17時から3学会合同イブニングセミナーで、

“The dry eye and infection” (Anthony J. Bron),
“Update on therapy for bacterial keratitis” (Terrence P. O’Brien),
“The diagnosis and treatment of intraocular infection” (Henry J Kaplan)
の三題でした。
3 men kyoto 1998


僕には最初のひとつがやや難解、2番目と3番目がききやすく実践的という印象でした。3番目で、眼内炎に対して硝子体切除を行って術後成績が上昇するかどうかの調査が行われて、発症時の視力が手動弁以上なら硝子体切除してもしなくても成績に差がないという結果。ただしKaplan氏はそれでも硝子体切除をする意義があるだろうという意見でした。



6/7日曜日(3日め)

 午前中のコンタクトのシンポジウムでは、「細菌感染」「真菌アカントアメーバ」「ウイルス感染」の3題が面白い発表でした。ディスポーザブルのSCLでも感染症の発生があるためばかにできないという印象でした。 Frequent replacement lens は米国では2週間、三ヶ月などいくつかの種類があること、連続装用は米国で1992年までは1ヶ月装用という製品もあった、など日米での違いも指摘されました。

 一方、展示会場でジョンソン社にたずねたところ、チバビジョン社のディスポSCLは販売網の点でまだ脅威ではないという答えでした。現在、ジョンソン社のAcuVue, SureVue, One day acuVueはUVカットと広い屈折度数のバリエーションという点でチバビジョンに勝っているようです。屈折度数はたぶんチバビジョン社もしだいに範囲を広げるとは思われます。
 昼のランチョンセミナーでは1日使い捨てCL新製品「デイリーズ」”Dailies”の紹介がチバビジョン社の二人から行われました。ワンデイアキュビューとの比較では、カナダ、イギリスなどの利用者テストで「デイリーズの方が取り扱いが楽」という意見が多かったようです。またデイリーズの製造行程の詳しいビデオ(機械展示会場と同様)も上映、ライトストリーム・テクノロジーという新しい製法(上下のモールドを使用し、フチを残して中央を紫外線で固める)を解説していました。また中安先生の「ディスポーザブルCLの変遷と展望」ではCLと屈折矯正手術を含めた検討が発表されました。全体にスケジュールが遅れがちで質議応等質疑応答がおこなわれなかったのが残念です。

 午後のシンポジウムでは、松田司「コンタクトレンズと流通」の発表もたいへん面白い内容でした。ディスポーザブルレンズを中心とした外資系レンズがシェアを急速に増しているため、今のコンタクトの卸価格の仕組みでは日本のコンタクトメーカーは数年中にほとんど倒産するのではないか?卸し価格を薬品のように「建値制」という一定価格にして再建をはかれ、という提案でした。

 学会を通じて英語の発表では同時通訳がヘッドホンできけて、スライド画面も英語スライドと日本語スライドが左右に並ぶという形式がほとんどでしたので、かなり英語の演題もききやすい状態でした。中には日本語スライドの方が画質がきれいで見やすいこともありました。ただし速くしゃべる演者の時には日本語もいっしょに速くなりますから、猛烈な速度の日本語にがんばって頭でついていかないと理解できない、という場面もありました。



その他、京都の様子:


 個人的には京都に数年ぶりに行きましたがJR駅のビルをじっくりながめることができませんでした。残念。繁華街には無人のサラ金貸し出し機械がいっぱい増えましたね。なんだか変な風景。地下鉄はJR京都駅と国際会館の往復にとても便利でした。いろんな建物のエスカレータでは左に寄って立つ人と右側で進む人とにわかれている場面が多く、いらいらせずにすみました。ただし国際会館のような公共の建物でも喫煙スペースが多すぎるのが気になりました。たばこをすわない僕にはまだいろんなところで煙をよけながら歩くようになることが多かったようです。JR新幹線も自由席には禁煙車両が少なくて困っています。全車両禁煙にしてくれるとたいへんありがたいと思います。



取材と報告の機材:


今回の報告はデジタルカメラ(借り物)Olympus C-820L, コンピュータMacintosh PowerBook 2400c/180, モデム NTT Thundercard AVF 288という組み合わせで平野が編集して毎日送信しました。(予備にPHS、NTT Paldio 315SとPaldio data card使用)
会場ではカメラとMacを並べて編集する場所もないのでほとんどホテルの部屋で編集しています。モデムカードとホテルの部屋の電話はあっさり接続でき、学会会場でも部屋によってはPHSの電波が届いたため比較的電話事情はよかったようです。

 学会の即日報告、いかがでしょうか?その気になれば列車事故を世界に伝えるくらいの機能と機動性はあるはずですが、たったこれだけの学会報告では記者ひとりに読者が10人くらいかなあ、と思っています。学会もこんなかたちで全国にアピールしたら来年の参加者が増えるんじゃないでしょうか?


(98.6.5作成、98.6.10更新)文中ではすべて敬称を略しています。

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