パソコンと目

(●注意!内容が古いです。1998年に初回原稿を書いたので液晶画面よりもCRTをすすめています。●)
パソコンをよく使う人は一度お読みください。
iVDT

Q: パソコンは目に悪いんですか?

A: よくある質問ですが、なかなか一言では答えられません。これは「読書は目に悪いか」「テレビは目に悪いか」という質問と似ています。私なりの答えは…「条件しだいでは目の疲れの原因にもなるし、条件次第では近視を強くする可能性もありますが、それよりもパソコンを楽しく使うよう考えましょう。」ということですが、いかがですか?

ManAndMac
Q: パソコン使うと目に何がおきるんでしょう?

A: 次に述べる「テクノストレス症」(別名VDT症候群)というようなさまざまな症状が出ることがあります。「ドライアイ」を起こす原因にもなります。近視になるかどうかはまだ結論は出てないようです。短時間の集中した作業では近視化がおきることもありますが、それだけでは「パソコン使用で近視になる」とは言えません。

Q: テクノストレス症ってなんでしょう?

A: コンピュータを長く使用する事で眼、首、肩、腕、手や精神に異常をきたすことです。別名、VDT症候群ともいいます。多い症状は肩こり、目のつかれ、目の重い感じ、など。VDTはコンピュータの古い呼び名です。かつては画面のついた端末という意味でvisual display terminalという名がついていました。今は画面のついてるのが当たり前で、画面のないコンピュータは博物館に置くほど古くて珍しいものになりましたが…。今ではVDTはパソコン、家庭用ゲーム機をみな含めたものと考えていいでしょう。これを読んでいるあなたもたぶんパソコンに向かっていると思いますが、お疲れですか?

Q: VDT症候群の症状は?

A: 目では眼精疲労、調節緊張、結膜炎、角膜炎、涙液減少など。目以外では頸肩腕、手指の障害、ストレスと緊張、精神障害、生理不順や流産などがあります。もっともコンピュータを使うことと流産の発生率とは因果関係がないとの報告もありますが。

Q: その原因は?

A: コンピュータを使用する時間が長い、または連続していること、姿勢の問題、作業する部屋の環境などが大きな原因です。コンピュータを使うときは、書類を読む時よりもまばたきが少なくなり、目が乾きますし、また書類と画面を交互に見ると目の調節機能も頻繁に使うため疲れるとも考えられます。タイピングに慣れない人は書類、画面、キーボードと視線を交互に動かすことになりますから、さらに目が疲れます。画面の位置が高い場合は上のまぶたもいつもより大きく広がり、目が乾きがちになります。テクノストレス症の一部としてドライアイのある人は多いのですが、ドライアイであるからといってその原因がコンピュータの使用だとは限りません。なお、パソコン画面からとパソコン本体から出る弱い電磁波はVDT症候群の原因としては考えにくいとの意見がWHOなどの文書で示されています。


(ここでオマケでマニアックな意見。……自分の手と目を疲れさせないためにもタッチタイピング(手元を見ない打鍵)を練習するといいでしょう。画面とキーボードを交互に見るのは疲れます。また、ファンクションキーは画面を見たままで打てない場所ですから、ファンクションキーを多用するソフトは疲れる原因ですね。
例えばかな漢字変換でF6,F7, F8キーを多用している人はalt, control,optionなどのキーのコンビネーションをおぼえると疲れも減ると思います。
ところでマウスは初心者のうちは手元を見る人がいるのですが、これは自然に画面を見たまま手がマウスを握るという動作に落ち着きます。なおJIS配列でかなを入力するとキーボード最上段を多用するため手も疲れますので私は大人も子供もローマ字入力をすすめます。本当は親指シフト配列キーボードという、かな入力にとって理想的なハードウェア+ソフトウェアがあるのですがDOS/Vと親指シフト配列キーという組み合わせは普及がむずかしいのかもしれません。私も一時期、親指シフトでのかな入力をしていましたが現在はMacintosh
とASCII配列キーとローマ字入力というスタイルです。Windows, Macでの現実的な解決法はローマ字入力でしょう。それもJIS配列よりはASCII配列がリターンキーが近くて右手小指の疲れが少ないとは思います。control-Mでリターンキーの代用をする方法が便利な人はそれもいいでしょう。)

Q: 対策は?

A: 作業時間内の休憩:台所用のタイマーを手元に置いて1時間ごとに鳴らし、5分から10分の休憩をとって体をのばすことが効果的です。これはワープロの入力の専門家が使う方法です。

 人工涙液の点眼を1時間ごとにするのもいいでしょう。コンタクトレンズの方は医師の指示をきいて点眼薬を選んでください。

 コンピュータ使用時の姿勢も大切です。下の図を参考にして自分の姿勢を調節してみてください。中でもすぐ実践できて有効なのは、椅子を高くすること、画面の高さを下げること、キーボードの高さを下げることだと思います。

ManAndMac
(上図は1997年頃のアップル社のコンピュータ付属マニュアルから引用しましたが、
筆者はディスプレイ上端は「目よりなるべく下」をすすめます。
目と同じ高さにする理由は特にないと思われます。)

●机の高さを下げる(キーボードがひじより下に)

●画面を目より下に置く。(17インチ以上のディスプレイならば机にじかに置くのがおすすめです。パソコン本体の上に17インチを置くと高すぎて目も首も疲れます。15インチや13インチのディスプレイは低く置けて良いのですが少数派です。)

●照明が画面に映りこまないよう角度をかえる。(窓の光が気になる場合はカーテンを利用)

Q: コンタクトをつけてパソコンを長時間使っています。知らないうちに目の病気が進むのでしょうか?

A: 「知らないうち」に病気が進む心配はないでしょう。目の痛みや乾きの症状を感じてから病院に行っても遅すぎることはありませんから、この後もゆっくり「めだまカフェ」をお楽しみください。

Q: VDT検診って何ですか?

A: コンピュータに向かう作業が多い人が、目(や肩や腰)の異常をおこさないうちに診察を受けておこうという狙いでしょう。実は僕も本当の目的はよくわかっていません。ところが、1日に1時間だけパソコンに向かう(よくある事務職の姿ですね)という人がVDT検診を毎年うけていたり、1日じゅうパソコンに向かっていて検診受けない人もいたり、どうも企業によって扱いはまちまちみたいですね。検診して病気が見つかる、という事はとても少ないのですが、僕は患者さんの訴えに応じて、メガネのより良い使い方、目の乾燥とコンピュータ作業との関係、机と椅子のうまい使い方などについてアドバイスするようにつとめています。

Q: ディスプレイはCRTとTFT液晶どちらがいいの?(1999-2000)

A: 結論は「私はCRTをすすめます。」です。1999.8月、読者の方から質問が寄せられました。「パソコンのCRTとノートパソコンのTFT液晶は、一般的にどちらが目によいのでしょうか?」質問ありがとうございます。一般的にはCRT(通称ブラウン管、cathode ray tube)が疲れが少なく、良いだろうと筆者は考えています。例え液晶画面(Liquid Crystal Display)の値段が下がっても、今後CRTは消えることはないでしょう。CRTの中でもソニー、三菱の管を使ったものはかなり画面の質が高いので(製品としてはナナオブランドも含む)長時間の作業に耐えると思います。縦方向の曲がりが強い物はおすすめしません。iMac程度の縦の曲がり程度が限度でしょうか。

(ここから2000年12月追加)筆者も職場で液晶画面を使う仕事が増えました。三菱、EIZOなどなどの液晶ディスプレイでMacでは30分、Windowsでは10分程度の作業ですが、6ヶ月の使用感ではやはりCRTが快適で、液晶は不便です。特に写真を見る際に顔の位置を数cm上下しただけで明るさがまったく変わる液晶は首に疲れがくる原因です。
単に「場所をとらない」ために液晶を買うには、高い価格と肩こりは考え物です。液晶独特の、解像度と液晶pixelが異なる時の文字のにじみも不快です。今のところ何度も液晶画面の角度を変えたりしてなんとか使っています。

なお、画面から出る電磁波が人体に与える影響については、
「弘前の津軽衆」
にある、「電磁波と健康」欄に詳しく述べてありますのでご参考に。CRTからの電磁波については私もあまり重視していませんし、パソコン作業者むけの「電磁波遮断エプロン」などはほとんど意味がないと考えています。

(2002.5.22追加)電磁波について。

電磁波健康影響講座というサイトの作者の方からメールいただきました。このサイトでは、きっちり実験と理論で電磁波の影響を裏付けしてくれています。さらに、怪しげな「電磁波防護グッズ」の嘘をあばいて、「(これらのグッズは)基本的に電磁波をカットしたりする機能は皆無」と見事に書いてくれています。電磁波やOAエプロンに関心のある方はぜひどうぞ。
筆者の使用経験ある液晶画面は:(1) 三菱18′ TFT 液晶モニターRDT181S、(2). EIZO FlexScan L350、. Macintosh PowerBook 2400、iBook初代などなど
CRT(通称ブラウン管)の長所
 画面に対して斜めから見ても色が変わらない
 画面の明るさが充分、白黒の階調も再生範囲が広い
 解像度を変えても文字がにじまない
 安い。これは素晴らしい長所です
CRTの短所
 調整によってはややまぶしい
 設置の向きによっては高くなりやすい
 場所をとる。つまり机によっては画面と利用者の目が近くなる
 製品によっては画面の歪みが気になる
液晶の長所
 場所をとらない。壁際の場合、目から充分距離がとれる。
 画面の歪みはほとんどない
液晶の短所
 画面に対して斜めから見ると色が変わり、このため作業姿勢が限られる
 画面に対して上下から見ると明るさが変わりやすい。大きな短所です
 画面の明るさ不足(低価格の機種で特に)
 解像度を変えると文字がにじむ

(1999年の時点ではCRTをおすすめしていました)引き続き、2003年10月の時点でも筆者は液晶よりもCRTをおすすめします。とはいえ世の多数派が液晶画面に向かう流れは止められないでしょう。

(●注意!内容が古いです。1998年に書いたので液晶画面よりもCRTをすすめています。●)
(98.2.8作成、03.11.06更新)

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