救急車の不足と有料化を考える

日本では毎年救急車の出動回数が増え続け、救急車の維持が困難です。出動1回に5万円から10万円程度かかる費用は地方自治体を圧迫しています。

このページの内容
◆不足は毎年深刻化
◆東京消防庁タクシー紹介2005年
◆海外の救急車の有料無料
◆議論の場
◆夜間診療、休日診療の料金
◆その他の資料(維持費用など)

■救急車の不足は毎年深刻化
統計の資料(救急車出動回数など):
「増える救急車出動 有料化は必要か」四国新聞2005年7月17日記事。「後絶たぬ迷惑通報 到着遅れ…」「軽症4割、タクシー代わりも」の内容。
レスポンス記事2001年「国民の32人に1人の割合でお世話に」
—–1年間の救急車やヘリコプターによる出動回数は約418万件(H12年)
神戸市消防局2005年「その救急車出動要請、本当に必要ですか?」
—–神戸市の救急車。全体の約60%は「救急車要請の必要なし」

「救急医療サービスの経済分析」(PDF書類)東京大学公共政策大学院2007年資料。大変詳しい統計と分析。東京消防庁で出場一回あたり約45,400 円という数値あり。
この報告書での結論は「政策提言 :救急車は有料化すべきであり,利用料金は13,600円から17,600円として,利用者負担の 原則からその料金収入をサービスの拡大に充てるべきである. 」とのこと。救急車に不適切な通報の例も多数あり。
「公共政策の経済評価」も参考に。

「消防庁」
消防庁のH19年度、消防白書—第2章第4節を見ると、救急出場は6秒に1回という頻度。出動した件数はH8年からH18年で5割増しており、かなりの悪化。

H21年度、消防白書第2章 消防防災…第4節 救急体制。「搬送人員の50.9%が入院加療を必要としない傷病者」

◎◎八尾市「119番の笑えない現状」(記事消失。リンク切れhttp://webnews.asahi.co.jp/you/special/2003/t20030609.html)—–「救急車がすべて出払ってしまうケースが月平均8回発生」と本文中にあり
=====

■増える出動要請にどう対応するか
1.救急車と救急隊員を増やす
  —–(仙台市で市民希望の2位)税収が少ない今、困難でしょう  
2.市民に「救急車を呼びすぎないよう呼びかける」
  —-( その救急車出動要請、本当に必要ですか? 神戸市の呼びかけのポスター2005年。「救急車はタクシーではありません!」)
3.むだな救急車要請をなくすため有料化
  —–これが最も有望です.

■東京消防庁タクシー紹介2005年
東京消防庁は2005年9月9日から、症状の軽い患者に対して救命認定運転手のタクシーを紹介するサービスを始めました。当めだまカフェは、この方法に賛成です。救急車の不足は年々深刻化しています。救急車一回出動の費用は約5万円です。今回のニュース記事は読売新聞「救急車 軽症お断り、民間搬送を紹介…東京消防庁」をどうぞ。(2005-2009調べ)

■海外での救急車の有料・無料の資料

海外旅行保険NTTイフ
—「海外では…大半の都市では有料化」との説明。
日本興亜損保
ニューヨーク救急車で基本料金16,500円+約4,400円/マイル) パリでは乗車30分ごとに約23,000円、という金額あり。
ニュージーランド、健康や医療
—NZでは救急車が有料(NZ$45…)。ニュージーランド政府観光局の説明

増える救急搬送と対応—海外での救急車料金を掲載。
「海外での医療」
—救急車が有料である都市を掲載。 イギリスでは無料、フランス・ドイツ、イタリアの主要都市で有料のようです。
(もっともイギリスでは救急病院の待ち時間が数時間と、長い現状も知らないといけませんが。)
なおイギリス医療の報告は九大熱帯医学研究会、WHO班報告
もどうぞ。

(http://www.japan-journals.co.uk/) internetジャーニー記事(記事消失)—2001年12月31日夜、ロンドンで酔った大人(実は警官)が救急車に「自宅に送れ」と要求した事件を紹介。無料のイギリスでも日本と同じ悩みがあるようです

「ジェイアイ傷害火災社資料」
—世界各地比較した資料。地図をクリックして表示。
 アジアでは無料救急車の都市もあり
 (中国は北京上海で有料)
ヨーロッパでは有料救急車が多い様子。有料の都市でも5000円だったり
基本料10000円にプラス距離加算料金があったりさまざまです。
(その他、スウェーデンでは有料と書いた記事もあり無料との記事もあり)

=====

■有料化の論点になりそうな部分
例1:有料化は裕福な人にだけ有利な制度ではないか
—-本当に救急車が必要な場面、命にかかわる場面で5000円から数万円で迷う人はいないと思われます。日本では利用料金が5万円以上になることはまずないでしょう。

例2:軽傷は有料で重症は無料とすればよい
——–搬入された医師に判断させると病院の負担が増えますし
酔っぱらいが医師に「俺を重症扱いにしろ」とおどす事もありそうです
軽傷重傷をどこで線を引くかはむずかしいでしょう。
ただし軽傷重傷の分類の方法しだいでは効果があるかもしれません。

例3:一部地域だけ有料にすればよい
——-賛否両論あるでしょうが全国的に救急車の不足が進行している日本では遅かれ早かれ
どの地域も有料化されると筆者は予想しています。

例4:意識のないけが人は搬送できないのか
—意識のない怪我人、病人は搬送したあとで請求書を発行する制度となるでしょう。
意識のない怪我人を発見した人は自分のサイフを心配せず119番に電話できる仕組みです。

例5:サイフを持ってないと救急車呼べない?
—-利用料はあとで請求される形になると予想しています。
=====

■議論の場

NADE情報局—「ディベート甲子園・論題を読む「救急車有料化」編」。
名誉な事に「めだまカフェ」URLが参考にあげられています。

「はてな」救急車の有料化—読者の投票結果。賛成反対はほぼ半々。

gooニュース畑「救急車はタクシー代わり…」—2007年の議論。意見は6人程度。めだまカフェへのリンクもありました。

Yahoo知恵袋「救急車の罰則…」—投稿意見は少なめ。

(消滅)「エキブロ・メディカル記事」(表紙)
—熱い意見が多数ありましたがサイトが閉鎖されています

=====

■夜間診療、休日診療の料金

埼玉医科大学総合医療センターでの夜間休日の軽症患者からの
保険外負担8400円の徴収が全国から注目されています。(2008年6月から開始予定)
徴収予告をして(2008.3月現在の記事で)数ヶ月ですが、この徴収方法は良い試みだと思います。
参考になる記事はブログ記事「時間外救急、軽症者から8400円特別徴収…」日経いきいき健康記事「夜間や休日の救急患者、軽症なら一律8400円徴収・埼玉医大」
があり、また、2008年3月にこれまでの状況をまとめた記事として「m3.com会員限定記事 「8400円」で“コンビニ受診”に警鐘」もあります。
m3.comでは「この掲示だけで効果が出た」として2007年年末から2008年の年始で夜間休日の小児科患者は前年比2割減少と書いてあり、成果があがっているようです。(08.3.7)

=====

■その他の資料(維持費用など)

救急車出動にかかる費用、出動件数、他国状況など。

kazuhito.blog記事—東京都の2004年7月試算で救急車一回あたりのコストが45000円とのこと。ZAKZAK 2004.7.31記事から。
(群馬県)太田市、救急業務のコスト—救急車一回あたりのコストが約13万円です。支出コスト、発生コスト、間接コストなど詳しく計算。
「救急搬送された疾病者のうち、 半数以上が軽症者です。」と書かれています。

神戸新聞2004.10.13記事—全国の救急出動件数は毎年5から6%増加中。
和歌山県田辺市資料(消滅)http://www.city.tanabe.wakayama.jp/kikaku/kouhou/200212/tokusyu.htm—出動に1回約5万円かかっています。


「千葉県ドクターヘリ事業」
—2001-2003年統計。医師同乗ヘリ費用は1年間で約1億8千万円。(平野の計算で
年400回出動なら一回45万円程度)

シアトルの実例紹介—緊急度を判断して軽症だけ民間搬送にまかせる。つまり軽症なら民間で実質有料搬送となる方法で参考になります。

「モリタ社の消救車」日経BP
—消防車、兼、救急車で車両価格3500万円
「三菱記事」—–救急車車両単独(装備なし)では1500万円らしい
「Aviation Now/航空の現代」—救急ヘリコプターの資料がたいへん豊富
「がんばれ救急車の巻 」 —三重県医療政策課、救急車常連さんの件。

「救急車の有料化議論と適正な利用に向けて」(PDF書類)(第一生命経済研究所)2006年記事—10年間で出動件数が増え続けている現状。また、2003年の内閣府の調査では無料を求める声が5割との報告。

サンデー山口2005.4記事
山口でも救急出動件数は増加傾向とのこと

東京消防庁、報告書—救急需要対策検討委員会報告書。

「救急車の有料化、消防庁回答」
—国政モニターでの消防庁の回答。2003(H15)年。
「救急車の有料化は避けられない」—くば小児科blog,2005.3.16記事。medama cafeへリンクあり。感謝。

なお、資料を検索する際は「救急車 有料化」「軽症者 搬送 有料化」などで検索しています。イギリス医療事情について英文で探すにはNHSという単語が便利です。
資料探しと編集は広島市、ひらの眼科平野直彦が行っています。参考資料のリンク切れが時々あってすみません。

(2003.08.05作成、2010.3.24更新)

コメントを残す