コンタクトの値段はどう決まる

コンタクトの値段はどう決まる
(注。2001年に初回執筆しました。) 世の中不景気も続きますし、外食産業が値下げ競争という時代になりますと、コンタクトレンズの値段にも皆さんこだわるようになるみたいです。
contact lens with finger

もちろん牛丼だろうと医療用具だろうと消費者は値段に納得しないとお金は出しません。
値段に疑問があるときは眼科でもネガネ店でも遠慮せず質問してください。
では昔からきかれる質問ですが、「なんであの小さいコンタクトレンズひとつに何万円もするんだ!」
という点に、めだまカフェなりに説明をしてみたいと思います。

 コンタクトも樹脂ですから工場で作る前の原材料費は5円や10円かもしれません。でも残念ながら何10通りもバリエーション作り、レンズを工場で仕上げて、レンズの工場から卸を通じて、お店に届いて、これを1枚30円で売れと言われると、誰も流通ができない、検査しない、種類はふやせない、交換の責任もとれない、清潔の管理もできない、パッケージも作れない、在庫はふやせない、結果コンタクトは使いものにならないという結果になるんですね。コンタクトは材料よりも手間と人件費がたくさんかかってるんです。
ハンバーガーは1種類で何百個も作るし紙1枚巻いて手渡せるから60円や100円で販売できるわけですよ。

 昔、日本のコンタクトの初期の頃、ほんとは「コンタクト代金」と「検査代金」を別にとればいいものを、日本の商売の悪い伝統どおり「形のないサービスに値段をつけないから仕方なくモノに値段を上乗せした」というのがコンタクトの売り方でした。ほんとはレンズの原価は安いんですが、店頭で時給1000円や2000円の店員が1時間かかって商品の説明すれば、それだけで「店の土地代、店の光熱費、店の人件費、在庫品への投資、…」などなど諸経費がかかるわけです。

ではコンタクトの処方箋を出しているという眼科病院は利益が大きいだろうって?ところがどっこい、眼科では視力検査や眼の診察は正規の料金をいただいてますが、なんと時間と技術のかかる「レンズ装用指導」にはなんにも料金をもらってないんですよ。これも日本の伝統そのまんま。技術的な仕事してるのに技術料を請求してない。昔の眼科医会がちゃんと「レンズ装用指導」に保険の申請をしていればねえ…。と僕は思いますけどね。今「医療費削減!」て毎日のように新聞で書かれていては、正当な「レンズ装用指導に保険点数を認めてくれ!」てな要求とても通りませんよ。だから「眼科でコンタクト買うとやけにレンズ代高いしなあ」という変な事態につながるんです。技術料をちゃんと請求していないツケが回ってるんですな。

コンタクトの値段の原理は、「喫茶店のコーヒー1杯はコーヒー豆の値段じゃなくて土地代と人件費で決まる」というのと似ています。コーヒー豆手渡すだけなら1杯30円でもできるでしょう。でもカップ洗ってテーブルと椅子用意してテーブル拭いて、冷暖房効いた駅前5分のお店で、客一人が30分座れる時間を確保してちゃんと腕のある店長がコーヒーを入れたなら、これが200円なり400円になってもいいですよね。(それを180円で実現したドトールはえらい!)でっかいコーヒー店の欧州製エスプレッソマシンなんか数百万円するらしいですし。

さて、では2週間交換の頻回交換タイプや、1日で捨てる使い捨てレンズはなぜ1枚あたり400円とか100円の値段になるのか?これは患者ひとりにたくさんのレンズを渡すからですね。レンズの製法も簡略化してる。患者ひとりに検査一回で眼科で1時間かかる。商品説明にお店で30分かかる。そのあとにハードコンタクトなら両目で2枚渡すけど、1日タイプなら60枚渡すわけです。しかもハードコンタクトや、従来型ソフトコンタクトの場合、「この度数だと見えにくいから交換してくれ」という場合も無料交換に応じているのでさらに経費がかかっているということになります。コンタクトは品種によって
製造工程での研磨とかコーティングとかいっぱい手間がかかってるものもありますが、その話は省略します。
なお、交換とか返品が可能という仕組みも当然値段を上げる原因になってます。
2週間交換の頻回交換タイプや、1日の使い捨てレンズは1枚単位では交換不可ですから、あれだけ安くできるんです。
百貨店の季節終わりのバザーでは返品不可だけど値引きは大きいというのに似ていますね。
従来型ソフトと使い捨てソフトを比べても、レンズ自体の材料費や工場出荷時の値段、というのはそんなに10倍も差はないだろう、と筆者は想像しています。従来型ソフトには多少は余分な工程がかかっていますが。仮に明日「従来型ソフトコンタクトの原価が200円だった!」と雑誌にスクープ記事がのったとしても僕は驚きません。たとえそうだとしても、従来型ソフトの販売形態がそのままなら、どうやっても1枚7000円とか10000円にしないと商売が成り立たないわけです。価格破壊を考える人が新たに業界に入っても、これ以上値段を下げられないことはすぐわかるでしょう。

では、1日タイプ、1週間タイプ、2週間タイプの使い捨てソフトを比べると値段は違うけどどこが違うのか?というと素材はほほぼ同じです。厚みや直径やデザインは違いますが、決定的な違いは工業的にはないともいえますね。だから1日タイプを使っていて費用がかかりすぎると考える人は2週間タイプに変えるのが賢明と思います。もちろん2週間タイプは夜はずして消毒が必要ですから消毒の手間は増えますが。1週間タイプは昼夜つけっぱなしですから私はほとんどすすめていません。実際にトラブル発生率も高いので2週間タイプに移る人も多いですし。

とまあ、以上を強引にまとめてみます。

●コンタクトの値段のうち、材料費はほんの一部。製造と流通と販売にかかる人件費が大半。

●使い捨てレンズは製法の簡略化とまとめ買いの原理で安くできている

 この筆者の意見を読んで、「ふん、あんたはメガネ屋の味方してそんな事書いてるんだろ!」と疑う人もいるでしょうが、そう思う方は身近で一人メガネ店勤務やメガネ店店長の人をラチ監禁して「どれだけ儲けてるんだ白状せよ!」と言ってみてくださいよ。「昔はコンタクトでもうかった時代もあったけどねー」と、どの経営者も今のコンタクト利幅の小さい事をなげいていると思います。もはや日米の価格差も小さくなったし、コンタクトだけで大きく儲けるなんて不可能ですよ。この先もコンタクトの値段は少しずつ下がるかもしれませんが1年で半分にはならないでしょうねえ。
 納得していただけたでしょうか?
(2001.10.01作成、2003.01.11更新。)

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